美容室に行ったあと自己嫌悪に苛まれる話


まず先に言っておきたいのは、これは美容師さんおよび美容室は全く悪くなくて、100%個人的なコンプレックスのはなし。

 

ドアを開けた瞬間 フワッと漂うちょっと良いスタイリング剤の匂いに、じぶんスイッチ美容室モード、発動。

いつも指名する美容師さんは、担当してもらってもう14年くらい。
最初は「カット中ほとんど喋らないからラク」という理由で指名していたけど、それは超真剣にやっているからで、キャリアを積んだ今もとても勉強熱心な人。美容師というよりは職人。

私はきっと、この人だから美容室に通えているんだと思う。はい/いいえ ぐらいしか口にしない上に 美容に疎くてほとんどお任せ、でもいつもすごく良い感じにしてくれる。

そんなに恵まれてるのになぜ自己嫌悪に苛まれるのかというと、


自分の、反応の薄さ


情けない……。本当に情けない。


顕著に表れるのが、最後に合わせ鏡で後ろを見せてくれる時。

この時の正しい反応が本当に分からない。
笑えばいいのか、頷けばいいのか、かわいいって言えばいいのか、
でも 一応自分のことだし かわいいって言うのも変かって思ったり、
色々考え過ぎて、結果、無表情の

「あ…はい…」


これを例外なく今日もやってしまった。
しかも、今日はいつもと違う美容師さんにやらかした。
めっちゃ不安そうだった(当たり前)。


内心は、想像以上のかわいい仕上がりに結構テンションあがってたのにもかかわらず。

明らかにポーカーフェイスの使い道を間違えている。

さらに奇しくも美容室の名前が「ニコ」……
申し訳なさすぎる。全然ニコってない。

14年来の知り合いでも、時々

「大丈夫?怒ってる?」
って聞かれることがある。
さすがに治さないとまずいと思って、でもなんでかうまくできない。

極端な話 お客"さま"である限り怒られることはそうそう無いわけで、それに甘えている節もある。
きらきらな空間での緊張や おしゃれな美容師さんへの劣等感、そんなのも勿論あると思うけど、何よりも問題なのは、感情を外に出すのが下手すぎることなんだと思う。


何を考えてるのか分からない、近寄りがたい、話しかけづらい。

今までこう言われつつも、出会った人達に恵まれたおかけで 普段はそこまでコンプレックスに思うこともないけれど、
美容室では思い出したかのように コンプレックスが湧き上がってきて、綺麗になった髪とは裏腹、やっぱり自分は駄目だという気持ちで家路につく。

美容師さんってたぶん、綺麗になった人の笑顔が見たくて仕事をしているんだと思ってる。
わぁ〜って反応するのが1番の対価であり、満足しているならそれが礼儀な気もする。

それをしないって失礼だよな…。

すごく楽しそうに喋ってる隣のお客さんを見てちょっと羨ましく思う。
というか美容室でリラックス出来る人って凄い。一回 自律神経の構造調べさせて欲しい。

喋ってる人って一体何を話しているんだろう?

たとえば、今1番楽しいことってなんですか〜?って聞かれがちな質問、

スクフェスでMASTERフルコンした時とイベントで推しを2枚取りした時ですね!!!!!」

とか言えないし、

「深夜に無心でメレンゲ泡立てることです」

は 色々心配されかねないし、

「友達と飲み行って〜からの〜カラオケ行って〜まーじ喉死にました 笑笑」

だめだ、嘘がバレる。


そもそもとってもおしゃれな人達と私と、話が合うことのほうが奇跡みたいなもんだ。
それでも話しかけてもらえるなんて、なんて空間なんだろう。

そうだ、シャンプーしてもらう時、丁寧に「流しますね」「シャンプーしていきますね」と言ってくれる美容師さんになんて返せば良いのか分からない問題。これも深刻だ。

一回だけ、全無言をキメたことがある。もうこれに関しては全力で謝りたい。
頷く動作が出来ないってこんなに不便なのかと思い知った。私、首振れなくなったら意思疎通できなくなるかも。交通事故とか気をつけよう。
とりあえず今は、「はい…」って死にかけの虫みたいな返事してる。


すぐにニコニコ反応したり、楽しく会話したりは無理だけど、今後の人生のためにも、少なくとも怒ってると思われない程度には コミュニケーションをとる努力をしないといけないと思ってる。

また近々美容室に行く予定がある。
電話予約の時点で既に緊張の目盛り振り切りそうになるけど、
今度こそ、
この前の髪型好評でしたって、そう言うんだ。